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クラウドファンディングは資金繰り?前借り?借金?そうではないと考える理由

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今回、コロナの影響で、初めてクラウドファンディングをやってみようか、と考えている方から、ちょくちょくと相談を受けることもあるので、クラウドファンディングについて、自分の考えを整理しておきたいと思います。

 

 

(1)クラウドファンディングとは

クラウドファンディング」とは、「群衆(Crowd)」と「資金調達(Funding)」という言葉を組み合わせた造語で、インターネットを通じて不特定多数の人に資金提供を呼びかけ、趣旨に賛同した人から資金を集める方法です。

 

今回は、この中でも特に資金提供に対して何らかのリターン(商品など)を返す購入型のクラウドファンディングについて書きたいと思います。

www.smbc-card.com

 

(2)自分の経験

なんだかんだで、自分自身だったり、自分自身も主体になりながら、他の人と一緒にだったり、で10回ぐらいは、クラウドファンディングをやってきたなーと思っています。

全て購入型のクラウドファンディングでプラットフォームはいろいろと使ってみました。

 

今も「みらいの宿泊券」という、今年の9月〜来年の8月まで、コロナがおさまってから宿泊することができるチケットをクラウドファンディングで販売しています。

今回は、主催者の一人という関わりです。

よかったらぜひのぞいてみてください。

camp-fire.jp

 

(3)資金繰りには向かない

まず資金繰りには向きません。

よく言われるのが、資金調達だけなら、アルバイトをした方が効率が良いということです。

私の考える理由は3つで、

①入金までに時間がかかる

クラウドファンディングで大きな金額を集めるのは難易度が高い

③手間かかる割りに得られる金額が少ない

からです。

 

まず、資金繰りとなると、すぐに入金をされるのが重要です。

しかしながら、クラウドファンディングのお金が入金をされるのは、クラウドファンディングが終わってからです。

例えばクラウドファディングの期間を30日とした場合、入金をされるのは30日のクラウドファンディングの期間が終わったあとで、そこからさらに1〜2ヶ月先になるのが一般的です。

これでは、資金繰り目的としては遅過ぎます

 

次に、大きな金額を調達するのがすごく難しいことがあげられます。

金融機関で融資してもらうのも確かに面倒はあります。

事業計画をつくったり、決算資料を準備したり、、、、

しかし、金融機関で1000万円借りるのは、手間も難易度もクラウドファンディングとは比較にならないほど簡単だと言ってよいと思います。

日本政策金融公庫などであれば、よっぽどのことがないとこの金額が借りれないことはないと思います。

一方で、クラウドファンディングで1000万円を調達するのは難易度がすごく高いです。

また手間も非常にかかります。

というのも、クラウドファンディングは、「インターネットを通じて不特定多数の人に資金提供を呼びかけ、趣旨に賛同した人から資金を集める方法」と紹介しましたが、実際にはほとんどのクラウドファンディングはそうではないからです。

クラウドファディングは、プラットフォームに掲載するとどこかの誰かが支援をしてくれるのでしょうか?違います。

プロジェクトにもよりますが、実際に資金を提供してくれるのは、ほとんどの場合には、友人・知人、その活動への賛同者など、もともとその人のことを支援したいと思っている方です。

プラットフォームを見て活動が良いなと思って支援をしてくれる方は1,2割程度と考えた方が良いかと思います。

そこで1000万円をと考えるとそれが非常に難易度の高いことだとわかってもらえるように思います。

クラウドファンディングで100万円ぐらい集められる実績を出せばそれをもって金融機関で1000万円ぐらい融資をしてもらえる可能性も高いのではないでしょうか。

そのぐらい難易度が違います。

 

そして、最後に、クラウドファンディングは、これを実施する手間がすごくかかります。

準備も、途中過程も、そして、リターンを準備返すのもです。

・最初に準備するテキスト、写真、動画

・実施中の情報の更新、SNSでの拡散

・お一人一人にリターンを準備し、郵送等する

これを一人で行うのは、すごく長い時間を要します。

そこで得られる金額はいくらぐらいになるでしょうか。

まずプラットフォームの手数料がだいたい10-20%程度かかります。

またリターンのお金、郵送料等もかかります。

リターンは、通常よりもお得でないとなかなか資金が集まらない場合もあるので、場合によってはマイナスになります。

 

(4)前借り?借金?

今回、みらいの宿泊券に参加をしてくださる宿さんより、これは前借り?借金?というような話がありました。

どういうことかというと、2020年9月〜2021年8月までの間、宿泊をすることができる権利を「みらいの宿泊券」として販売しています。

つまり、将来宿泊を実際にしてもらった時にお金をいただくことができないので、これは前借りなのではないか?借金なのではないか?というようなご意見です。

 

確かに前借り・借金と言えなくはないですが、私の考える宿の市場環境では前借りにはなりません

 

前借り・借金と言えるのは、

・このチケットを持って宿泊に来てくれる方が全てこのチケットを販売していなかったとしても泊まりに来てくれる場合

・もしくは、宿が満室になっており、このチケットを持って宿泊に来る方がいるために、その分宿に泊まれなかったお客さんがいる状態になってしまった場合

になると思っています。

 

しかしながら、私は現状のコロナの影響はかなり長期に及ぶと思っており、宿が満室になっているということを想定していません。

お一人でも、このチケットがあったことで、通常の予約だったら泊まりに来なかったお客さんが泊まりに来てくれれば、それは前借り・借金ではないと考えています。

 

(5)マーケティングツール

資金繰りには向かないのであれば、クラウドファンディングはどのような目的で利用することができるのでしょうか。

 

「(4)前借り?借金?」で少し言及をしましたが、クラウドファンディングは、それ以外のところでは見つけてくれなかった方が自社のサービスなどを知ってくれる機会を提供できるマーケティングツールになります。

 

もちろん今回のようなコロナの場合や、NPOば主体となっている場合などは、「寄付」の要素が強く、リターンは、商品といったものより、活動そのものへの共感などということも多いです。

 

しかしながら、私自身は、こういった寄付型のクラウドファンディングではなく、新しいサービスを出す時に、そのサービスにニーズがあるのかを確かめるためのツールとして利用をしています。

motion-gallery.net

 

(6)手数料が高い?コロナにより安くなっている

確かに通常ですと、手数料が高いプラットフォームが多いです。

それでも、高いプラットフォームだと20%程度の手数料がかかる中で、私が最近よく利用をしていたMotion Galleryさんなどは、手数料は10%とかなり安価にはなっています。

クラウドファンディング初心者でも丁寧にページの作り方も教えてくれるのでオススメです。

 

そしてさらに今は、複数のプラットフォームがコロナ関係のプロジェクトに関しては決済手数料5%のみという破格のプランを出してくださっています。

CAMPFIREさんは、通常手数料17%かかるところ、Motion Galleryさんも通常10%かかるところ、大変ありがたいことです。

※REAYFORさんも4/30まで実施されていました。

 

<CAMPFIRE>

新型コロナウイルスサポートプログラムについて – 株式会社CAMPFIRE

 

<Motion Gallery>

 

新型コロナウイルスに起因する、イベント中止・延期・代替開催及び、損害を受けた興行場・飲食店・宿泊施設等の支援プログラムを開始します。 | MotionGallery Magazine

 

(7)信用を失うクラウドファンディングと信用を蓄積するクラウドファンディング

最後に、私自身はクラウドファンディングを自分が実行者になることも多いですが、資金提供側になることも多い方かと思っています。

多い年だと年間10以上は資金提供側をやっています。

 

そんな自分が、こういうのことをされたら、絶対に資金提供をしないと決めているルールがあるので、自分自身もそれはしないようにしています。

 

それは個別にメール・メッセージ等で、資金提供の依頼を送ってくるプロジェクトです。

 

SNS等で見かけて、自分でいいな、と思って資金提供をするのは大丈夫です。

私自身それで資金提供をして、そのプロジェクトであったり、リターンを楽しみにしており、自分自身のその人に対する信用は全く減ることはありません

また、一部のNPOさんについては、毎年会費を払う会員になっているところもあります。

 

一方で、こうやって個別に連絡をされると、何と返信をしていいのか、非常に困ります

相談がある、などとして話をされるのはさらに困ります。

この行為があった場合には、私はその人との信用関係はなくなるとともに、資金提供も絶対にしない、と決めています。

 

なお、そのプロジェクト限りで資金を集めるのであれば、個別連絡は絶対にした方がいいです。

集まり方は全然違います。

また、個別連絡をしたからといって必ずしも信用を失う訳でもないですし、個別連絡をしなくてもクラウドファンディングをしているだけで嫌だという人もいるとは思っています。

これはあくまで自分なりの線引きです。

 

自分自身は、これまでクラウドファンディングを、自分ルールの中でやってきて、それを機会に多くの人と出会うことができて、たくさんの方に資金提供を受けたり、資金提供をしたりできたことは、とてもよかったと思っています。