Meet Locals 〜地域と世界をつなぐ〜

パブリック(公務員)、ソーシャル(NPO)、ビジネス(特に地域)の3つのセクターのこと・キャリアをそれぞれ経験した立場から発信します。

ゲストハウス(宿)とシェアハウス(住居)の違い

SPONSORED LINK

f:id:meetlocals:20200428042154j:plain

ゲストハウス(宿)とシェアハウス(住居)、両方をやった経験からこの2つのビジネスの違いについて、自分なりの考えていることを整理してみたいと思います。

 

私は、この2つはかなり違うビジネスで、よく一部シェアハウスで一部ゲストハウスみたいな話も聞きますが、ずっと「相性が悪い、混ぜるな危険」と考えてきました。

 

今回、コロナの影響で、ゲストハウスのシェアハウス化に踏み切りましたが、その思いは変わっていません。

入居者、引き続き募集中です!

www.meetlocals.jp

 

なお、よくゲストハウスと組み合わせになるカフェ/バー(飲食店)も相性悪いと思っており、実際うまくいっているところはかなり少ないと思います。

そのあたりもまた整理をしてみたいと思います。

 

 

1部屋あたりの売上が全然違う

あるホステルのある狭めのツインルーム。

1泊6000円だとしましょう。

そしてその部屋が、1ヶ月30日のうち27日貸し出しをされている(稼働率90%)だとすると、その部屋は1ヶ月で

6000円×27日=162,000円(16万円ぐらい)

の売上を生み出すことになります。

 

では、そのお部屋を賃貸の部屋として貸し出しをします。

4畳でお風呂・トイレは共同。

1ヶ月いくらで借りるでしょうか。

甘く見ても、家賃が5〜6万円程度、水道光熱水費なども含めても6〜7万円というところではないでしょうか。

 

16万円と7万円

売上が2倍以上違います。

 

通常16万円もする部屋に7万円で住めると思えば、結構お得な気もしたりします。

 

お客さんの数が全然違う

ある30ベッドほどあるホステルだとしましょう。

お客さんが平均3泊ほどし、365日のうち330日ほど予約で埋まっているとすると、年間何人のお客さんを迎えることになるか。

30人×330日/3日=3300人

宿泊していただくことになります。

 

これが賃貸のお部屋で、平均1年ぐらいは住むとすると

30人

のお客さんということになります。

 

上記は、入居率は100%という計算になってますが、実際賃貸の場合2年ぐらい住む人が多いのでもっと違います。

 

3300人と30人

お客さんの数が100倍以上違います。

 

コロナ、ということで考えると、いつも同じ人が出入りする家と、様々な人が出入りする宿。

ある程度の接触があったとしても、感染のリスクは大きく異なるように思います。

 

お世話をするスタッフの数と人件費が全然違う

ホステルには、いつも予約を受け付けて、チェックインをしてくれるスタッフだったり、お部屋や水回りなどを綺麗にしてくれるスタッフだったり、夜中に何かあっても対応できるように常駐しているスタッフだったりがいます。

あるホステルに、日中(16時間)は2人のスタッフがずっといて、夜(8時間)は1人のスタッフがずっといるとすると、その人件費はどうなるか。

 

計算をしやすいように時給1000円で交通費なしで考えると、

1000円×2人×16時間+1000円×8時間=40,000円/日

40,000円×30日=1,200,000円(120万円)

 

一方で、これが家だとどうか。

家の場合は、基本的には、お掃除などは何もしなくて良いです。

ただ、全て専用ならそれでもいいですが、共用部があると汚れてしまうので、1週間に1回2時間、月に4回は掃除をするとしましょう。

また、入居者募集をしたりで、月に10時間ぐらいは管理をするとしましょう。

 

同じく時給1000円で交通費なしで考えると

1000円×1人×2時間×4回+1000円×10時間=18,000円

 

120万円と1.8万円

かかる人件費が全然違います。

 

なぜ混ぜるな危険なのか

ここであげた、売上、お客さんの数、スタッフの数・人件費以外にも違うところはたくさんあります。

許認可や設備投資、物件を借りる時の条件などなど。

社会的な役割も、宿泊契約と賃貸借契約も違います。

前に書いた消費税がかかる、かからないもあります。

www.meetlocals.jp

 

ただ、ここまでで、ざっくり考えると、

宿泊→たくさんのスタッフが必要な分、売上が大きい

住居→人手が不要だが、売上が小さい

と言えるように思います。

 

 

宿はスケールメリットが大きいです。

ベッドの数が30でもスタッフ2人必要だと思われますが、ベッドが50でもスタッフ2人で大丈夫だと思われます。

ベッド数が増えても一定までは人件費は変わらないんですね。

 

逆に1つでもベッドが宿になっているとどうなるか。

年間にくるお客さんの数が100倍以上違いますし、家と違って、宿には突然予約が入ってきたりします。

なので、予約をとる限りは予約を受ける人が、メールや電話を受ける人が必要だったりします。

 

住居は、売上がすごく少ないので、手をかけてはいけないです。

なので、一部宿にするなどして、手をかけてしまうのはもちろん、人がいないと維持できないコンセプト等とも相性が悪いです。

やる気のある立ち上げた人がボランティアでやり続けるのなら維持できますが、俗人的で、そこに住んでいる住民だったりに左右をされやすいので、仕組みとしてやるのはかなり難しいです。

コンセプトを入れるなら、ハード面で維持できるものだと相性が良いように思います。

 

ではこの2つを混ぜるとどうなるか、人は減らすことができないのに、売上だけ少なくなるということになります。

もちろん同じ建物の中で良い感じで分けるようなこともできなくはないですが、それでも需要がある環境の場合は、どちらかに集中をした方が効率は良いと思われます。

そう需要がある場合にはです。

 

今回、コロナの影響下で、少なくとも宿については当面需要がない状態になると考えています。

それも、もともと宿の供給過剰状態で、需要が供給を上回っている状態だったため、コロナが収束して、国内も、インバウンドのお客さんも戻ってきて、さらにインバウンドのお客さんが増えて、やっと成り立つようになると思っているので、宿業が成り立つようになるのは、かなり先になると思っています。

 

もちろん宿によってはもっと早く大丈夫だ、というところもあると思いますが、、、

なので、今のコロナ下においては、宿の全て、もしくは一部が家になる、というのは一つの選択肢だと思っています。